生まれ育った場所と、スノーボード。

僕が生まれ育ったのは兵庫県にある宍粟市（しそう）というところです。人口も少なく、山と川以外は本当に何も無いところで、高校生までの主とした遊びは、川で魚捕る事と焚き火でした。僕が初めてスノーボードをしたのは高校一年生の時で、父親が家から四十分ほどクルマで走ったところにある「播州戸倉スノーパーク」に連れて行ってくれました。あんまり知られてないんですが、兵庫県はそこそこ雪の降るエリアがあり、スキー場も数多くあります。家から一時間クルマで走れば結構いろんなゲレンデに行けるんです。もちろん初めてのスノーボードはレンタルする事になるんですけど、初めて使う道具にかなり手こずりました（笑）。というか、全然滑れなくて、帰りの車で「スノボーなんか二度としない！」って父親に八つ当たりしたの覚えています（父親も根に持っているのか未だにその事を言ってきます─笑）そこから二年後の高校三年生の冬休みに、進路も決まって友人達も車の免許も持ちはじめ、その中の一人が「スノーボードはモテるらしいぞ！行こうぜ！」と言いだしました。当時の僕は「モテる」に反応し、「二度とやらない」はすっかり忘れて、考える間も無く「行こうぜ！」と答えていました。友人達はすでにウェアはもちろん、「マイボード」も持っていて、僕だけ兄のスノーボードをこっそり拝借して使っていました。もちろん最初は全然滑れなかったんですが、経験者がいたのもあって少しずつ教えてもらいながら上達していきました。その時の同級生らが良いライバル的な感じで、それが上達に繋がったんじゃないかと思います。それがスノーボードにハマった大きなキッカケでしたね。

スノーボードのホームグラウンド。

　僕のスノーボードに対するホームグランドは、ズバリ「人」ですね。十年ほどスノーボードをしてきて、本当に多くの人に出会いました。面白い奴、気があう奴、カッコいい奴、ムカつく奴、可愛い奴、年齢も性別もライディングスタイルも含めて、めちゃくちゃ多くの人に関わらせてもらっています。なんなら、ゲレンデでほとんど会わない、もしくは会った事すら無いけど、ＳＮＳで頻繁に会話している人もいます。これは今の時代らしい話ですが・・・。ホームグラウンドって普通はその場所を想像すると思うんですけど、場所に連動して誰か人を思い浮かべると思うんです。実はみんなそうではないですか？例えば、地元のナイターゲレンデとして通っていた「ちくさ」ってところがあるんですが、そこに行ったらカーヴィングを教えてくれた先生達や、クッソ寒いのに帰りのコンビニで深夜までスノーボードの話しをしながらラーメンを食った仲間がいる。そんな感じで、いろんなスキー場に自分を迎え入れてくれる人がいて、それが有り難く思いますし「ホーム感」が半端ないんですよね・・・

故郷を離れ、都内に移ったのは。

　二〇一七年の九月に、地元の兵庫から上京して都内に移り住んだんですが、その大きなキッカケが趣味でやっていたスノーボードを仕事にするという事でした。その他にもサポートして頂いているメーカーさんもほとんどが東京に会社がありましたし、僕がこっち（東京）に来る事で、今までやっていたライダー活動もメーカーと密な距離感で活動出来るんじゃないかなって考えたのも大きな理由の一つです。もちろん「兵庫の山奥→東京」って事で、環境が大きく変わる事なので、自分のスノーボードの回数や質が落ちるんじゃないかな？というのは一番懸念しました。でも、実際に来てみたら十月オープンのイエティが近かったり、ゴールデンウィークまで通っていたチャオ御岳も近くなったので、逆に滑走日数は増えました（笑）・・・

ユーザーから、プロダクト側になって。

　ユーザーという立場から、スノーボードをプロダクトする側になって、これまではスノーボードを「楽しいスノーボードをしたい」っていう感覚でやってたんですが、それは自分自身の楽しむという気持ちのみの感覚で特に深く考えていなかったんですが、スノーボードを作る側になると、どうすればサポートしているライダーはもちろん、RICE28を乗ってくれている人達みんなが楽しくスノーボードを出来るのかな？という事を考える様になって、「みんなで面白いスノーボードをしよう！」という感覚に変わりました。・・・

最後に、一般スノーボーダーに向けてメッセージなんですが・・・特に何も無いといいますか（笑）、多分、僕が見ている限り、ほとんどの人がめちゃくちゃ楽しそうに滑っているので、僕もそれに負けない様にめちゃくちゃ楽しいスノーボードをやり続けたいなって思います。